田路 圭輔
Keisuke Toji
エアロネクスト代表取締役CEO/
NEXT DELIVERY代表取締役
1968年生 大阪大学工学部卒
1991年に電通入社、1999年にIPG設立
18年間の経営経験の中で電子番組表Gガイドを
普及/市場化、独自のIP経営を確立した
2017年よりエアロネクストに代表取締役CEOとして参画
内閣府 知的財産戦略本部 構想委員会委員(5期連続)
誰がやっても1個の結論になるもの、全ては論理的で構造として捉えられるものが好き
――幼少期はどんなお子さんでしたか?
あまり記憶がないんですけど、すごく浮いていましたね。まわりの子と別のことを考えているというか、流れにのれないというか。ひとりで空想ばかりしていました。
人と一緒にされるのが嫌いで、みんなが普通にすることに興味がなくて。自分にしかできないことにしか興味がなかったんです。人と違うことが好き。その感覚だけは覚えていますね。そしてその思考は今も変わらないです。同じ対象物を見ても、他の人とは違う見方を自然とする癖がついています。まあそういう子供でしたね。
――なぜエアロネクストに代表として参画を決めましたか?
前の会社で普遍的なやり方を見つけた気がして、再現性を試してみたかったんです。何で試そうかと考えたときにドローンに出会いました。ドローンは2つの意味で良くて。まずドローンという物理的なものに興味があったこと、そして僕が再現したいモデルが可能であったこと。
僕は形あるリアルなものが好きなんです。ソフトウェアとかそういう世界よりもフィジカルなものが好き。「構造」が好き。ものは何かの関連でできていて、構造でできていて、だから安定したり不安定になったりするじゃないですか。
「A=B B=C ゆえにA=C」みたいな思考で、ぼんやりとした話ではなく、自然の摂理、必ずロジカルに証明できるものが好きです。100人いたら100人の解釈があるものではなくて、誰がやっても1個の結論になるもの、全ては論理的で構造として捉えられるものが好きですね。
――エアロネクストのミッションとビジョンは何ですか?
ミッションは、「人生100年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界を実現する。」です。これを実現するアプローチとして、「新しい空域の経済化」というビジョンを掲げています。僕らはドローンというテクノロジーを愛しているので、鳥と電波しか飛んでいない、誰も使っていなかった空という未開の地を、ドローンというテクノロジーで経済活動の場に変えていくことに取り組んでいます。
――エアロネクストの戦略を教えてください。
スタートアップは市場創造が使命なんです。つまり市場を創造できないスタートアップは要らないと思っています。市場を創造するのに必要不可欠なのは独自技術です。スタートアップは急成長していく会社なので、そのためにも独自技術が必要不可欠。ただ、産業って構造的に考えると、たくさんの人が巻き込まれていかないと大きくならないんですよね。
たくさんの人が巻き込まれると競争が生じる。でも僕は競争が嫌いなんです。嫌いというか、競争は敗者のものという思想があって、競争する時点で負けている。僕にとって「競争しない」というのが最大の戦略であって、それをやっています。頭の中から生み出されるアイディアを権利化するという仕組みが特許なんですけど、知的財産という無形資産から事業をスタートさせたというのがエアロネクストの特徴です。ただ、それだけ持っていてもビジネスにはならないので、それを価値変換していくというのが僕のいちばんの得技ですね。僕は「わらしべ長者」という寓話が好きなんですけど、特許を使ってあれと同じことをやりました。様々な企業と連携しながら特許を違う価値に変換しています。
――実績を上げてきた秘訣は何ですか?
ポイントは「目的」と「誰もやらない方法」。常に「目的が何か。だとするとどういうやり方がいいか」という順番でしか考えないので、目的合理的です。それを誰もがやらない方法でやっています。目的は僕だけというよりも、みんながやりたいこと。邪念があるとか私利私欲があるとか嘘があるとか、それだと人って動かないんですよね。僕が成し遂げたい何かがみんなにとってもそうだと思わせる何かが大切です。「それってあなたがやりたいだけでしょう」とか「結局あなたが儲けたいだけだよね」と感じた時に人は動かないけれど、「たしかにそうだね」「それはそうなった方がいいよね」というものには人の心が動きます。起業家は人の心を動かすことが仕事で、そういった人がどんどん集まってきて、大きな力になるんです。だから目的納得度と実現のアプローチは特に重要ですね。
やり方は、「どうやったら勝てるか」「だとすると」みたいな順番で選んでいます。やり方は1個ではなくて、たくさんありますが、その時の会社のフェーズやリソース、外部環境などを考えたときにそのチョイスがいちばん良かったというだけ。ただ、考え抜いて最も合理的かつ成功確率が高い方法を選んではいます。型があるわけではなくて、目的に対して最も合理的なやり方を常にチョイスはしています。それから、僕は力学をわかっているんです。要は「ここを押せばそこが出る」とか「ここを引けばそこが引っ込む」というポリティクス。そういった力学をすごく把握しているので、「このことが何に影響するか」とか「このセリフはこの人の心に何秒後に到達して、その感情が次にどんな行動に変わるのか」ということが予測できるんです。自然法則の、ものは高いところから低いところに落ちますみたいな話と一緒ですね。
自然法則と同じようにすべて理解して、何をすれば何が起こるかというのをずっと考えて、それを人間の感情に置き換えています。やっていることはすべて原理で考えていますね。常に原理を追いかけています。
「あぁこの人と一緒に何かやりたいな」という気持ちになって、それが最後、本当に自分がやりたいことになる
――仕事を選ぶ時に大切にすべきことは何だと思いますか?
やらされている仕事ってつまらないと思うんです。基本的に自ら「やりたい」と思うことが大切で。そしてそういった気持ちを強く意識する前に思うのは、「この人たちと一緒にがんばりたい」ということ。シンプルに、「何をやるか」を決めるのって難しいと思うんですよ。それよりもまず「誰とやるか」が大事で、誰とやるかが決まったあとに、その人たちと一緒に成し遂げたい何かが見えてきて、最終的にそれが自分のやりたいことになるという順番。だから「私はこれがやりたいです」と言って始めるものって意外とうまくいかなくて。それよりも「あぁこの人と一緒に何かやりたいな」という気持ちになって、「この人と一緒にやるんだったらこれがやりたいな」という気持ちになって、それが最後、本当に自分がやりたいことになるという順番がいいですね。それはエアロネクストに来たらわかると思います。一緒に何かやりたいなという人が集まっている会社にしたいし、そうなっていると強いなと思います。エアロネクストってこれをやっている会社だから興味があるという人よりも、この人たちと一緒に働きたいなと思って入ってくれた人の方が活躍できると思いますね。
――「誰とやるか」が大事だということに気付いたきっかけは?
もともと僕は「何をやるか」が強い人間でした。人と違うと思っていたし、すごく自信家だったんです。そんな20代後半の時にある人と出会いました。その人には奇跡がたくさん起こるんですよ。ロジカルではないこと。ミラクルが起こる。僕はその人のかばん持ちをしながら隣にずっといたんですけど、人の心が動く瞬間をたくさん見ました。その人が話すと、相手の目や表情が変わっていく瞬間があるんです。それを見て、「ん?これはなんだ?」と思いました。そして彼のどのセリフが相手の心を捉えたのかを考えるようになるんです。日々、生きていて心が動く瞬間ってあるじゃないですか。綺麗とか、嬉しいとか。その時に、なぜ僕は今綺麗だと思ったのかとか、なぜ僕は今嬉しいと思ったのかということを考える癖がつくようになりました。そうすると、「なるほどな、これか」みたいに、わかるようになってきて。それが自分の中でどんどん蓄積されていきました。
そこから僕は大きく変わりました。生まれ変わったような感覚でしたね。そのきっかけがやはり人だったし、おそらく普遍的なことだと思ったので、「何をやるか」なんてどうでも良くて「誰とやるか」が大事なんだと思いました。今でもそうですよ。一緒に働いている人には本当にそう思っています。誰でもいいわけじゃないし、取り換え可能なものではないです。
――エアロネクストの今後の展開を教えてください。
今は物流ドローンの市場創造をやっていますが、本当に面白いことをやっていきたいですね。新しい技術をつくりたいです。技術チームと運航チーム、そこに知財チームがあって。このあたりが自分のいちばん好きなところなんですね。そういった仕事により集中していきたいです。僕は根っこは研究者のようなところがあるので、あんまり人と関わるのも得意じゃないし本当は人前に出るのも好きじゃないんですよ。みんなが楽しそうにやっていると嬉しいし、まわりでみんなが楽しそうにしているのがすごく好きです。
何かをやりたいんだったら、僕らのチームに入るのは良い方法だと思う
――一緒に働くメンバーに対して思うことは?
僕は何もできないんですよ。ドローンも動かせないし、ドライバーにもなれないし、きっとかけっこしたら負けるし。
何もできないって、まわりの人から見るとちょろいじゃないですか。この人にはちゃんとやれば勝てるって、みんなが思っているのって良くないですか?
早く走れるとか、高く跳べるとか、遠くに投げれるとか、そういうことの方がわかりやすい価値ではありますよね。小さい頃ってそういうことを競いあうでしょう?僕はそういうの、なんか飽きちゃったんですよ。上には上がいるし果てしない。だからオリジナルというか、人と違うことを生存本能としてやっているのかもしれないですね。
――いつもどんなことを考えていますか?
僕は原理しか追いかけていないです。原理に沿って考えることが好きで、こうであるに違いないとか、仮説と検証をずっとやっています。「誰がやってもこうにしかならない」というところまで考えを突き詰めるのが好きなんです。僕がやるからじゃなくて、「誰がやってもこの結論にしかならない」こと。例えば、もう3日後にはみんなここに来るしかない、みたいな。だとすると何が必要かを考えますよね。もうそれを考えているだけで幸せです。今はもっぱらエアロネクストのことが大好きなので、エアロネクストという会社がこの先こんな風になっていく、そのためには、Aさんが必要で、Aさんにどういった仕事をしてもらうとそうなるか、じゃあAさんと誰を組み合わせるとそれがもっとうまくいくのかとか。そういうことばっかり考えていますね。
社員の方とお話しさせてもらうと僕なりにけっこうわかるんですよ。その人が何が好きで、何が嫌いで、何が楽しみで、何が哀しみなのか。人間の喜怒哀楽ですね。そういうのがぼんやりと伝わってきて、あとは日々の中で「あーやっぱりそうなんだ」と確信しています。
――エアロネクストのメンバーにメッセージをお願いします!
僕と一緒にいたら絶対に楽しいことが起こりますし、必ず面白い現象が見られるので、それだけは信じてください。
――エアロネクストの未来の仲間にメッセージをお願いします!
何かをやりたいと思うんだったら僕らのチームに入るのは良い方法だと思います。自分の人生を自分でコントロールしたい方、人にコントロールされるような人生は嫌だと思っている方はこの会社が合うと思いますし、すごく成長できる環境だと思います。自分が主体的に何かをしたいという方は、僕と一緒にいればその才能を必ず開花させることができます。才能を開花させたい方は、是非エアロネクストに来て欲しいです。